【症例紹介:特発性てんかん】
特発性てんかんについて
今回の症例は夜間「けいれん」を起こしているという事で来院されました。
飼主さんからみた「けいれん」には、
『失神』『発作』『ふるえ』などいろいろ見極めないといけないものがあります。
・『失神』とは心臓発作に伴うものであるので、一般的には心臓に雑音が聴診されたり、脈拍を触った際に『不整脈』があったりします。
・『発作』とは脳内から来るもので、意識を失うものもあれば、失わないものもあれば、失禁してしまうものもあれば、失禁しないものまで多彩です。
・『ふるえ』とは足の一部がふるえたり、全身がプルプルふるえたりするものです。
全て、診断から治療までが異なります。
症例紹介
今回の症例は5歳のワンちゃんで、初めての全身性のけいれんでいわゆる『発作』でした。
来院時にはすっきりした様子でけいれんは収まっており、不整脈や雑音もありませんでした。
『発作』の中にも内蔵からくるものと脳内からくるものに分けられます。
内蔵からくる『発作』には
腎不全、肝不全、低血糖、カルシウム異常、電解質異常、多血症などがあるので、
血液検査でそれらではない事を確認する必要があります。
今回全ての血液検査で異常がなかったので残るは脳内からくる『発作』という事になります。
脳内を確実にみる方法はMRIしかありませんが、その前に重要なのが、神経学的検査です。
神経学的検査というのは、眼に光を入れてみたり、鼻の反射をみたり、足の反応をみたり、様々な方法で確認していく検査です。
これらの検査で引っかかってきた場合は、脳内になにかしらの病変がある、つまり脳内に炎症や腫瘍、血栓などの可能性がでてきます。
特発性てんかんとは
『特発性てんかん』というのはいわゆる原因不明のてんかん発作の事で、除外診断(失神ではなく、内蔵からくる発作でもなく、脳神経学的検査で正常であること)で診断をする事になります。
この症例は脳神経学的検査も正常であったため、年齢やここまでの検査から『特発性てんかん』と診断しました。
特発性てんかんは一般的には月に2回以上のけいれんが出たら抗てんかん薬を内服するというのが大切な治療法になります。もちろん例外もありますし、抗てんかん薬にも種類がいろいろありますので、お困りの方は相談頂ければと思います!
さいごに
最後になかなか難しいと思いますが、これが発作なの?と疑問に思われる方も多くおられるので、その場合は携帯などでムービーをとっていただくと分かりやすいので、あわてて難しいかもしれませんが一度動画をとってもいいですね。
チェルシーアニマルクリニック 院長 小池 博行
富山市のチェルシーアニマルクリニックでは、ワクチンなどの予防医療や一般医療はもちろん、無麻酔CT検査や整形外科治療の症例実績も豊富にあります。些細なことでもセカンドオピニオンでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。
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